デザインの依頼は、プロジェクトの成功に大きく影響します。初めてデザイナーに依頼する際には、正確な情報を伝えることが重要です。本ガイドでは、依頼時に伝えるべき情報や避けるべきNG例について詳しく説明します。
デザインを依頼するのは賢明な選択でしょうか?

外注するかどうかを迷う理由の一つに「経費」があります。チラシやホームページなどのデザインを外注するよりも、社員に任せたほうが安上がりだと考える経営者も多いでしょう。
しかし、実際には自分で作成する場合にも費用がかかります。例えば、社内のプリンターでフルカラーのチラシを印刷すると、インク代や紙代がかかり、1枚あたり数十円になります。
ホームページも同様です。無料で作成できるツールもありますが、実際には機能追加やアドレス変更に費用がかかり、月に数千円かかることもあります。また、スタッフが通常業務の時間をデザインに割くため、結果的に外注した方が効率的な場合もあります。
デザインを依頼する際に伝えるべきポイントとは?

① 広報物の目的とターゲット
デザインには必ず「目的」があります。例えば、大学のウェブサイトをデザインする場合、学校の認知度を上げるためのデザインと、すでに大学を知っている人にもっと興味を持ってもらうためのデザインでは、アプローチが異なります。また、ターゲットが受験生、在校生、一般の方のどれかによっても、デザインは変わってきます。
デザインは目的やターゲットに合わせて、メッセージがより伝わりやすくなるようにすることが重要です。したがって、これらの情報を依頼時にしっかり伝えることが必要です。
② 広報物の用途
例えば、リクルーティング時の案内資料と、資料請求時の郵送用資料では、デザインアプローチが異なります。 デザイナーが理解しやすくなるように、使い途を把握しておくことが重要です。
③ 希望するデザインスタイルや理想のデザイン
1. ルールや規定事項を明確に区別して伝える
- 例えば、「必ず明朝体を使う」とか「ロゴとコーポレートカラーを組み込む」といった規定事項やルールがある場合、これらを好みやイメージとは別に明確に伝えることが重要です。
- ただし、ルールが多すぎるとデザインの自由度が制限される可能性があることに留意しましょう。
2. 具体的なイメージや好みを伝えるために具体例を使う
- 言葉だけで好みやイメージを伝えるのは難しいことがあります。そのため、具体的な例や参考となるイメージを用意して伝えることが重要です。
- 可能であれば、参考となる画像やデザインを用意して提示すると、デザイナーとのコミュニケーションがスムーズになります。
デザイナーに仕事を委託する際のポイント

① 依頼前に必要な要件を明確にする
「デザインはプロにおまかせする」という姿勢は、デザイナーへの信頼を表す素晴らしい態度ですが、実際にはデザイナーを困らせることになりかねません。 前述の目的やターゲット、イメージなどを事前にしっかりと整理しておきましょう。
これらの情報を明確にした後には、デザイナーに伝える準備も必要です。 実現したいイメージに近い例として、雑誌やウェブサイト、チラシなどを用意しておくと、コミュニケーションがスムーズになります。
② 余裕を持ったスケジュールを計画する
余裕がないと、満足できる成果物を期待することが難しくなります。 デザインの依頼から納品まで、最低でも2週間の期間を確保するのが理想です。この期間内で、具体的にどのタイミングでどんな作業を行うかを詳細に計画しておくことも重要です。
③ 料金を複合的に考慮する
料金は単純に決められるものではなく、使用目的や制作物の規模、デザイナーの能力などを考慮して調整する必要があります。料金設定は多くの人にとって悩ましい問題です。具体的な参考として、公益社団法人日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)の「デザイン料金表」も参考になるでしょう。リンクhttps://archive.jagda.or.jp/designfee/cf_fee_print.html
④ 契約書を交わしてから業務を開始してもらう
デザイン制作を業務委託する際には、契約書の締結を忘れずに行いましょう。なぜなら、契約書を結ばずに依頼すると後で大きな問題に発展する可能性があるからです。
契約書に含めるべき重要な項目は以下の通りです。
- 制作物の納期
- 制作物の利用範囲
- 修正が発生した場合の回数上限
- 知的財産権の譲渡条件
- 制作物の二次利用に関する料金
これらの事項を契約書に明確に記載しておくことで、依頼と納品のプロセスがスムーズに進み、トラブルを未然に防ぐことができます。
デザイン制作依頼時の失敗例をご紹介!

大量の提案や過剰な価格の引き下げ要求
デザイナーも時間や体力に限界があります。 そのため、「できるだけ多くの案を提出してください」という要求は、デザインの品質を低下させる可能性があります。 また、「できるだけ安くしてください」という姿勢での依頼は、デザイナーのモチベーションを損なう恐れがあります。 過度な要求は避けて、理にかなった依頼を心がけましょう。
他社と同時に依頼する
他社と同時に依頼することは、クライアントにとっては利点がありますが、デザイナーにとっては望ましくありません。 もし同時に依頼する場合は、事前にそのことをデザイナーに伝えることが重要です。
盗作・盗作につながる依頼
具体的には、「あのロゴに似せてほしい」といった依頼です。 他人の作品を模倣するようなデザイン依頼は、クライアントとデザイナーの両方にとって不利な場合があります。 また、以前のデザインを改良してほしいという依頼の場合は、そのデザインを制作したデザイナーに確認するのが良いでしょう。
デザインを依頼するのにおすすめのサイト





まとめ

デザインの依頼は、単なる外注ではなく「プロジェクトの方向性を明確にし、目的を達成するための大切なプロセス」です。その成功には、発注者がしっかりとした準備を整え、デザイナーとの信頼関係を築くことが欠かせません。
まずは目的・ターゲット・使用用途・希望スタイルなど、デザインに必要な情報を正確に整理し、明確に伝えることが大切です。曖昧な依頼や過剰な要求、倫理に反するような模倣依頼は、信頼関係を損なうだけでなく、成果物の品質低下にもつながります。
また、余裕のあるスケジュール設計や、契約書の締結によるリスク回避も、スムーズな制作進行には不可欠です。費用面では、一時的な金額だけでなく、成果や信頼性を加味した「価値のある投資」として捉える視点も重要です。
良いデザインは、明確な情報と丁寧なコミュニケーションの上に成り立ちます。デザイナーとの共創に向けて、発注者も準備を整え、誠実に向き合うことで、よりよい成果に繋がるでしょう。